預言者的使命と祭司的使命

和解委員会 平野信二
 
 2月5~7日、台湾台中市のホテルで行われたWH連総会(『りばいばる』4月号に詳報)における加盟団体の近況報告の中で、昨年12月31日に発表した「靖国神社参拝に対する抗議声明」の英語訳(WH連の公用語)に挨拶文を付けてお配りしました。声明文などを英訳してWH連加盟団体に配布するのは、「戦責告白」以来のことになります。韓国語訳は事前に蘇基昊牧師が翻訳していきましたが、中国語訳は準備が間に合わず、台湾聖教会の事務局長に翻訳と配布を依頼するかたちとなりました。韓国に行った時はまず過去の謝罪をしてからでないと会話ができないと言われていたことがありましたが、教団が「戦責告白」を発表した頃から「謝罪はもういいから、国家や社会に対する具体的な働きかけをしてほしい」と言われるようになってきました。国家や社会に関する取り組みは、キリスト者の人口が多い韓国においても大切な課題となっているようです。

 今回の声明文の紹介を通して、国家や社会への働きかけについて、韓国や台湾の聖潔教会の指導者の方々からご意見や励ましを頂きましたのでご紹介いたします。

 基督教台湾聖教会  総監事 黄慶隆牧師

 感動した。日本の市民は政府に対して無力であるように思う。教会が声明文などによって意思表示をすることは、真理に基づいた正しいこと。日本ホーリネス教団は日本のキリスト教界にとって新しい風となる。平和が来るように祈っている。

耶蘇教大韓聖潔教団  総会長 羅世雄牧師

 日韓関係には、話し合い、解決しなければならない数多くの課題がある。そのことについて、韓国人は日本に対して悪いイメージを持っている。また、教会が声明を出すことについて、預言者的使命と祭司的使命がある。前者はエゼキエル書で言われているような「見張り人」としての使命であり、声明文のようななかたちで表される。後者は祈りの必要性である。

基督教大韓聖潔教団    総務 禹淳泰牧師

 すばらしい活動をしていることを知り、とても嬉しく思う。政府に対してNOを言うことは勇気の要ることであり、日本国内でもこのような働きに対して反対の声もあるだろう。しかし、これは未来のために大切な働きである。日本のキリスト者人口は少ないが、数の問題ではない。この声明文は、生きたキリスト者の力を証明している。

  「市民の無力さ」や「国内での・・・反対の声」は、日本人の「お上」概念を言い当てているように思いました。同時に、この世に生きるすべてのキリスト者の姿を現しているとも言えます。ここに、「見張り人」として生きる大切さと難しさがあるのですが、私たちの教団の良き伝統の一つ、背後で支える祈りの重要性を改めて示されました。また、「悪いイメージ」はどこ国や人の間にも大なり小なり存在しています。そのような「隔ての中垣」の存在を認め、それをどのように取り除き、新しい関係を築き、和解の実を結んでいくかが問われています。
(2014年3月「りばいばる」誌)
※声明文は、教団ホームページの福音による和解委員会の頁に掲載しています。