「今後、私たちの教会は、「日本ホーリネス教団の信仰告白」に基づいて、神のみこころに適う教会の形成を目指します。また、歴史に学ぶことを忘れずに、私たちが置かれている時代と社会の状況を見極めることができるような体制によって、社会への責任を果たすことを目指します。そして、アジア諸国の人々の心情を理解することを努めるとともに、特に私たちに与えられている、アジア太平洋地域ホーリネス教会連盟の交わりを豊かなものとすることを目指します。」(戦争責任告白・第34回日本ホーリネス教団・教団総会、1997年3月)。
1.声明発表の基本姿勢
① 日本ホーリネス教団(以下、適宜「教団」と略記)が発表する声明は、教団の信仰表明、あるいは信仰に基づく教団の意思表明です。
② したがって、政府等に対して声明を出す際、それは単に、政府等が関わる政策や個々の社会的な事象について意見や苦情を述べるということには留まらず、教団の信仰告白とその実践として、それを行うものです。
③ 声明の基盤は、「日本ホーリネス教団の信仰告白」と「日本ホーリネス教団の戦争責任に関する私たちの告白」にあります。すなわち、教団がよって立つ聖書信仰、戦時中に弾圧を受けた体験を持つ教派としてのアイデンティティー、そして戦責告白に表明したような侵略戦争に加担して神と人とに対して罪を犯した教会としての責任に置いています。
④ 神の民(教会)が為政者に対して神から負わされている責任には、預言者的な務めと祭司的な務めとがあります。政府等に出す声明文も、時と場合に応じて預言者的・祭司的のいずれか、あるいは両方を兼ねたトーンで文案を起草します。
⑤ 声明文の性格は、要望・意見表明・(教団の)態度表明・(不服従などの)宣言・嘆願・要請・忠告・抗議・警告など、場合に応じて変わります。
2.教団の職務としての声明発表
① 「日本ホーリネス教団の信仰告白」は、1996年の第33回教団総会において「本文」が、1997年の第34回教団総会において「前文」を含む全文が採択されました。「日本ホーリネス教団の戦争責任に関する私たちの告白(以下、戦責告白)」は、信仰告白と同じ1997年の第34回教団総会において採択されました。いずれも、日本ホーリネス教団が正式に公にした信仰の告白です。そして、戦責告白を可決した際、戦責告白に伴う諸課題を扱うための継続委員会(後日、委員会名称が「福音による和解委員会」と決定。以下、和解委員会)の設置が付帯決議されました。声明文の起草は、主としてこの和解委員会が行います。
② 和解委員会は、教団総会において、正規の手続きを経て設置した公式の委員会であり、教団の代表機関たる教団委員会に対して報告、また提案する責任を負っています。政府等に対する声明文の起草・提案は、この付帯決議に基づく和解委員会の職務に基づくもので、「りばいばる」紙上における啓発、他教団や関係する諸団体、アジア諸国および沖縄との相互理解や協力・和解促進などとならび、実行していく決意を戦責告白において表明した「世を見張る」(エレミヤ書第6章17節)任務の一環として取り組みます。
3.声明発表の手続き
① 声明文の必要性を教団委員会が認めた場合、教団委員会は和解委員会に諮問します。和解委員会は検討した上で、教団委員会に答申します。
② 声明文の必要性を和解委員会が認めた場合は、委員会で検討して声明文の案文を起草、吟味し、教団委員会への提起という形で提出します。
③ 教団委員会は、声明発表の是非や内容について協議・検討し、最終的には教団委員会の承認を経て声明を発表します。この段階で、教団委員会から案文に対し修正意見が付くこともあり、その場合はそれに基づいて修正した上で教団委員会が承認する、という手続きを経ます。
④ 声明はこのような手続きを経て、日本ホーリネス教団 教団委員会(教団委員長名)として、あるいはそれに加えて福音による和解委員会(委員長名)を併記する形で発表します。和解委員会が単独で声明を発表することはありません。
⑤ 日本ホーリネス教団は監督制の政治形態をとる一方、執行部(教団委員)は民主的な手続きによって選出されています。教団委員会は、教団全体からの付託を受けて、教団として関わる諸問題について意思決定する権限を委ねられています。したがって声明は、日本ホーリネス教団が正規の手続きを踏んで決議し、発表するものであり、教団としての公式の意思表示です。
4.声明発表後の対応
① 戦責告白や声明類の趣旨については、主として教団の機関紙「りばいばる」を通じて周知します。それらの内容については、冊子にもなっています(『「日本ホーリネス教団の戦争責任に関する私たちの告白」の資料と解説』1998年、『和解を紡いだ12年』2009年)。また、必要に応じてパンフレットを発行します。
② 声明発表後は、その内容と趣旨を教団機関紙「りばいばる」を通じて周知します。
③ 声明について賛意ばかりでなく疑義や反対意見が寄せられることがあります。その際は、意見の多様性を尊重しつつも、対話を通じて声明の趣旨について理解が得られるよう努力します。場合によっては、そうした意見を「りばいばる」に載せ、議論の機会となるようはかります。