(2015年9月「りばいばる」奉仕局だより)

「災害と教会」

緊急支援対策室長 山田 智朗

 
 9月1日は「防災の日」です。これは1923(大正12 )年9月1日に発生した「関東大震災」にちなんで制定された記念日で、この日には全国各地で防災訓練等が行われます。しかし、関東大震災から72年が経過した1995(平成7)年1月17日には「阪神淡路大震災」が、さらにそれから16年後の2011(平成23)年3月11日には「東日本大震災」が発生し、今でも多くの人が仮設住宅での生活を余儀なくされています。また昨年9月の御嶽山噴火以来、箱根、口之永良部島、浅間山等の活動が活発になっていますし、夏の間には各地を集中豪雨が襲い、昨年は長野県(南木曾村)や広島市で土石流による大きな被害が出ました。今やもう「防災」は、一年を通して対策を考え、準備をしなくてはならない状況になっています。

 みなさんの教会では、災害に対して何らかの対応準備をしているでしょうか。もし何の備えもしていないとしたら、ぜひ今から準備を始めてください。

1.どんな災害が予測されるのか

 先にも書いた通り、「災害」は多種
多様です。たとえば想定を「大地震」と考えた場合でも、地震そのものによる被害だけでなく、火災、津波、土砂崩れから、工場等の薬品漏れや原発の放射能被害に至るまで、予想される被害は多岐にわたります。まずそれぞれの教会、あるいは各家庭の周囲の環境を調べ、その地域で脅威となる災害を予測して対処を準備することが大切です。

2.教会関係者の安否確認

 災害発生時に教会がまずしなくてはならないのが、関係者の安否と被害状況の確認です。しかし多くの場合、災害が発生すると通常の連絡手段は使えなくなってしまいます。関係者が教会から近い地域で暮らしている場合は、直接出かけて確認することができますが、広範囲から人が集まっている教会の場合は連絡の手段を複数準備しておかなくてはなりません。固定電話以外に携帯電話、メール、SNS(ツイッターやフェイスブック等)等での連絡方法を確立しておきましょう。

 また高齢者、障がい者、あるいは外国人等「災害弱者」と呼ばれる人については、教会は日頃から心にかけ、災害時には優先的に確認し対応する必要があります。

3.地域への支援

 教会は地域に置かれた「神の国の大使館」といわれます。災害時に教会が扉を閉ざし、地域に対して何の対応もしないならば、その役割を果たすことはできません。教会は災害時に、最大限の支援活動を地域に対して行いたいものです。備蓄物資の提供、一時的な避難場所としての会堂の提供などが考えられますが、そのためには事前の充分な準備や、地域のコミュニティとの日常的な関係作りが重要になります。さらにもう一つ重要なのが、近隣の教会との協力関係です。最近では各地で「地域教会防災ネットワーク」が作られ、災害時に地域の教会が助け合いながら支援を進める準備が始まっています。災害発生時こそ、教会は全力を挙げて地域に仕えたいと思います。しかし、一方で被災地の教会は、自身もまた「被災者」です。教団や超教派によるボランティアの支援を上手に利用することによって、教会は自身の癒しと地域の癒しを両立させることができます。

 災害はいつ、どこに起こるかわかりません。役員会で、CS教師会で、壮年・青年・女性等の各会で、ぜひ日頃からの「備え」を進めましょう。